城西大学理学部化学科
 
生体分子生物学研究室   

研究概要
RESEARCH

魚類の卵膜形成の仕組みはどのように進化してきたのか。

 脊椎動物の卵細胞は糖タンパク質で構成される構造物に囲まれており、外部からの刺激から保護されています。 これは卵生生物のみならず、我々のような胎生の哺乳類の卵も同じです。この構造物は、魚類では卵膜、鳥類では卵黄膜、哺乳類では透明帯と呼ばれ、それらは全てZP (zona pellucida)タンパク質で構成されており、 脊椎動物全体に保存された構造物です。

 魚類(ここでは真骨魚類を指します)の一部はその進化過程で卵膜の合成場所が卵細胞自身から母体の肝臓へと変化しました。その結果、厚くて丈夫な卵膜を獲得し、産卵環境に適した様々な卵を産むことが可能となり、広く繁栄してきたと考えられています。その一方で、今でも卵細胞のみで卵膜を合成して卵膜を形成する魚もいます(図1)。

図1.メダカとゼブラフィッシュで異なる卵膜を作る仕組み

 私達の研究室では、肝臓で卵膜を合成するメダカと、卵細胞で卵膜を合成するゼブラフィッシュを用いて、真骨魚類の進化の過程で卵膜タンパク質の合成場所が卵巣から肝臓に移ることができた理由やその経緯などを明らかにすることを目指しています。

 他にも、卵黄やウロコのカロテノイドの蓄積しやすさの魚による違いに関する研究なども行っており、魚(特に卵)に関する様々な面白い現象を研究テーマとしています。

 また、城西大学薬科学科の機能食品科学研究室の古旗先生との共同研究として、トウガラシのカプサイシン生合成に関する研究もしています(図2)。

図2. 古旗研の畑で栽培しているハバネロ
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